インフルエンザが大流行しているそうです。
インフルエンザが大流行している。厚生労働省が26日発表した全国約5千カ所の定点医療機関から報告された最新の1週間(15~21日)の患者数は、1医療機関あたり51・93人。前週から2倍近くに急増し、警報レベルの30人を大きく上回った。現在の調査方法となった1999年以降で最多という。
(インフルエンザが大流行 患者数283万人、過去最多 (朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュースより引用)
インフルエンザの治療薬としては、以下のものがあります。
商品名 | 一般名 | 製剤形態 | 製造販売元 |
タミフル | オセルタミビル | 経口薬(飲み薬) | 中外製薬(ロシュ子会社) |
リレンザ | ザナミビル | 吸入薬 | グラクソ・スミスクライン |
イナビル | ラニナミビル | 吸入薬 | 第一三共 |
ラピアクタ | ペラミビル | 静注薬(点滴薬) | 塩野義製薬 |
アビガン | ファビピラビル | 経口薬 | 富山化学工業(富士フイルムホールディングス子会社) |
ここで、公開資料より、インフルエンザ治療薬の日本国内における売上高を推定してみます。
なお、アビガンについては、国が必要と判断した場合にのみ使用されるもので、薬価は未定のため、今回の推定から除きます。
情報源は、厚生労働省の第9回新型インフルエンザ対策に関する小委員会資料です。
企業名 | 商品名 | 薬価 | 使用期限 | 備蓄数 | 年間製造販売数(推定) | インフルエンザ治療薬の年間売上高(推定) | 備考 |
中外製薬 | タミフル | 2,830円(カプセル) 2,928円(ドライシロップ) |
10年 | 2260万人分 | 226万人分 | 64億円 | 全てカプセルと仮定して計算 |
グラクソ・スミスクライン | リレンザ | 3,058円 | 10年 | 848万人分 | 84.8万人分 | 26億円 | |
第一三共 | イナビル | 4,279.8円 | 8年 | 2260万人分 | 282.5万人分 | 120億円 | |
塩野義製薬 | ラピアクタ | 6,216円(バッグ) 3,338円(バイアル) |
3年(バッグ) 4年(バイアル) |
282万人分 | 70.5万人分 | 24億円 | 全てバイアルと仮定して計算 |
そして、中外製薬・第一三共・塩野義製薬の3社について、インフルエンザ治療薬の売上が各企業の売上高に占める割合を計算します。
中外製薬は連結売上高4917億円(2016年12月期)に対して1.3%、第一三共は連結売上高9551億円(2017年3月期)に対して1.3%、塩野義製薬は連結売上高3388億円(2017年3月期)に対して0.7%です。
各企業とも、企業全体の売上高に占める、インフルエンザ治療薬の売上は小さいです。それゆえ、インフルエンザの大流行が、各企業の業績に与えるインパクトは小さいと考えられます。
株式投資をしている人にとっては、インフルエンザ流行のニュースを聞くと、「インフルエンザといえば中外製薬」「インフルエンザといえば第一三共」という連想が働くと思います。しかし、インフルエンザが流行しているからといって、インフルエンザ関連銘柄として製薬会社の株式に飛びつくのはやめた方がいいと思います(短期売買で利ザヤを狙う人は、一時的な株価上昇を狙って買うのもありかもしれませんが・・・)。
インフルエンザ治療薬の製造販売元の2018年1月26日の終値とPERはこちらです。
銘柄 | 株価 | PER | 説明 |
中外製薬(4519) | 5,990円 | 48.35倍 | タミフルの製造販売元。 |
Roche Holding AG(RO) | 235.00 CHF(SIX Swiss) | 20.71倍 | タミフルの輸入元。中外製薬の親会社。スイス本社。 |
GlaxoSmithKline plc(GSK) | 39.03 USD(New York) 1,355.00 GBP(London) |
28.35倍 | リレンザの製造販売元。イギリス本社。 |
第一三共(4568) | 3,491円 | 59.86倍 | イナビルの製造販売元。 |
塩野義製薬(4507) | 6,262円 | 19.43倍 | ラピアクタの製造販売元。 |
富士フイルムホールディングス(4901) | 4,618円 | 12.04倍 | アビガンの製造販売元・富山化学工業の親会社。 |
どの企業も知名度が高い有名企業なので、PERは高めですね。富士フイルムホールディングスは、他に比べてPERが低いですが、連結売上高の半分を占める富士ゼロックスの業績への懸念が株価の重しとなっていると考えられます。
皆様、インフルエンザへの感染にはお気をつけ下さい。ある医師によると、予防接種を受けた人でも感染する人が多いそうなので、油断は禁物です。
余談ですが、厚生労働省によると、うがいはインフルエンザ予防に効果がないそうです(ウェザーニューズ:「うがい」はインフルエンザ予防に効果なし?有効な予防法は)。ご参考まで。
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