保険事故の定義
保険事故(ほけんじこ;英語:an insured event)とは、保険金・給付金の支払いの対象となる事故をいいます。保険事件(ほけんじけん)ともいいます。
具体的には、保険において保険者(保険会社)の保険金支払義務を具体化させる事故、つまり、当該事故が発生したときに保険者(保険会社)が保険金の支払をしなければならない事実をいいます。偶然なものでなければなりませんが、いつか必ず発生するといったものでもかまいません。
例えば、生命保険の場合は人の死亡、火災保険の場合は火災による建物等の焼失、損害賠償責任保険の場合は一定の事由による損害賠償責任の発生などが保険事故に当たります。
保険「事故」という言葉を使っておりますが、例えば病気による死亡など、一般的には「事故」と呼ばない事象についても、保険事故と呼びます。
保険契約者は、保険事故の発生に備えて、保険料を保険者(保険会社)に支払っている、といえます。そして、保険事故が発生したら、保険者(保険会社)は保険契約者に保険金を支払わなければなりません。
いかなる事故が保険事故となるのかは、保険者(保険会社)と保険契約者の間で結ばれた保険契約で個別に定められています。具体的な内容を確認するには、保険証券や約款、保険契約書などを参照する必要があります。
生命保険の保険事故の例
生命保険における保険事故の一般的な例を、保険の種類ごとに見ると次のとおりです。
死亡保険
死亡保険における保険事故は、被保険者(保険の対象となる人)が死亡することです。
個人年金保険
個人年金保険における保険事故は、被保険者の年齢が年金支払い開始年齢に達することです。
学資保険(子ども保険)
学資保険(子ども保険)における保険事故は、被保険者(子ども)が学齢期に達すること、もしくは、保険期間が満期に達することです。
預金保険の保険事故
預金保険では、「金融機関の預金等の払戻しの停止」(第一種保険事故)と「金融機関の営業免許の取消し、破産手続開始の決定又は解散の決議」(第二種保険事故)を保険事故と定義しています(預金保険法第49条第2項)。
参考に、預金保険法第49条の条文を掲載します。
第四十九条 金融機関がその業務を営み又は事業を行うときは、当該金融機関が預金等に係る債務を負うことにより、各預金者等ごとに一定の金額の範囲内において、当該預金等の払戻しにつき、機構と当該金融機関及び預金者等との間に保険関係が成立するものとする。2 前項の保険関係においては、預金等に係る債権の額を保険金額とし、次に掲げるものを保険事故とする。一 金融機関の預金等の払戻しの停止(以下「第一種保険事故」という。)二 金融機関の営業免許の取消し(信用金庫若しくは信用金庫連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会にあつては事業免許の取消しとし、信用協同組合又は信用協同組合連合会にあつては解散の命令。第五十五条第二項第一号において同じ。)、破産手続開始の決定又は解散の決議(以下「第二種保険事故」という。)